01.国際的な広島AIプロセス
2023年に広島で開催された
G7 Hiroshima Summit
では、生成AIの安全性や信頼性を確保するための国際的な取り組みとして
Hiroshima AI Process
が提唱されました。
この枠組みでは主に
・AIの安全性
・AIの透明性
・AIの責任
・AIガバナンス
などが議論され、生成AIの国際的なルール整備が進められています。
つまりこの意味での広島AIプロセスは
国家レベルでAIの安全な利用を整備する政策的枠組み
です。
02.AI OS LabにおけるAIプロセス
広島で生活をするAI OS Labでは、この名称に着想を得て、
AIと個人が協働する際の判断順序を整理したモデルとして
AIプロセス(協働モデル)
という概念を整理しています。
これは国際政策とは異なり、
AIと人がどの順序で協働するか
という実務的なプロセスを扱うものです。
03.AIプロセス(協働モデル)
AIプロセス(協働モデル)とは、
手順ではなく、判断順序を定義した構造です。
AI OS Labでは、人とAIの協働は
次の順序で整理できると考えています。

※まずは1つの作業を決めてから、この順序に当てはめます
04.人間が問題を定義する
最初に行うのは、問題の定義です。
問題定義では、次の3点を明確にします。
・目的(何を達成したいか)
・出力(何を作るのか)
・制約(時間・文字数・条件など)
この3つを書けない場合は、
まだ整理が足りない状態だと理解したうえで、
AIを使う必要があります。
AIは、問題を発見することよりも、
すでに見えている問題を解決するための処理を補助することを得意としています。
問題を定義しないままAIとやり取りを始めると、
AIは何を優先すればよいか判断できません。
その結果、
補助の方向性も定まりにくくなります。
本来、AIで実現したいことの多くは、
人の生活や仕事を、少しでも良い方向に変えるためのものです。
だからこそ前提条件は、人間が決めて判断する必要があります。

05.1つのAIへの役割設計の仕方
次に行うのは、AIの役割設計です。
作業を分解し、仕事によって役割を割り当てます。
例:
・情報収集
・構造整理
・文章生成
・評価・チェック
作業工程が安定している場合、
AIは人が行う事務処理よりも速く、多くの情報を処理できます。
一方で、想定外の出来事や、状況に応じた応用判断は、
現時点では人の方が得意です。
気配りや察する力が必要な場面では、
人はその場の空気や流れを見ながら調整できます。
しかしAIは、前提が崩れたり、想定外の情報が入ったりすると、
そこで止まったり、見当違いの出力をする可能性があります。
そのため、AIに任せる役割は、
最初は4つまでに制限します。
AIによって処理できる範囲は変わりますが、
作業工程を増やしすぎると、
AIが処理しきれなくなり、ミスが起きやすくなるからです。
そのズレを修正するのは、人の役割です。
ここを完全に自動化してしまうと、
小さなズレに気づかないまま進み、
あとから修正しにくくなることがあります。
もし4つでも余裕がなければ、
役割をさらに減らしましょう。
AIに役割を設計したあと、AIは情報整理・視点提示・仮説生成などの処理を行います。
ただし、その出力は答えではなく、
人が判断するための材料として扱います。
▶ AI協働で起きる思考停止|AI時代の依存と距離の問題
☛[AI依存との違い]
06.人間が最終判断を行う
AIが出した答えを見て、
最後に「これで進めてよいか」を決めるのは人です。
ここでは
・倫理…誰かを傷つけないか
・社会的影響…周りに迷惑がかからないか
・責任…あとで自分が説明できるか
といった要素が関わります。
AIは判断の手助けはできます。
でも、その結果に責任を持つことはできません。
どこまで進めてよいか。
どこで止めるべきか。
そのちょうど良さは、
人の経験や体感でしか判断できない部分があります。

だからこそ、
情報を点でとらえるAIに、
判断を丸投げしないことが大切です。
そして、経緯や流れを知っているはずの人が、
伝えることや、考えることを放棄しないことも大切です。
AIが「やりすぎる」未来も、
逆に「必要なところで止まりすぎる」未来も、
生活のしにくさにつながってしまっては意味がありません。
しかし、AIがそこまで判断できるようになる前に、
人が判断を手放してしまえば、
「なぜその答えにたどり着いたのか」という経緯が完全に失われてしまいます。
本来あったはずの経緯が消えれば、
ズレは生まれやすくなるのではないでしょうか。
これは、社会の仕組みや生活の基盤にも関わるため、
一つの完璧なプロンプトだけでは補えない課題です。
そうならないためにも、
AIを使う技術だけではなく、
AIに任せる前に、人が何を考え、何を決めるのか。
そこを見失わないことが、
AI時代の協働には欠かせないと考えています。
07.AIチームとして運用する
AIプロセスでは、設計した役割を実際の運用へ反映します。
AIを役割ごとに分けることで、一つのAIではなく、目的に応じたAIチームとして運用できるようになります。
このとき重要なのは、AIではなく人の役割です。
・指示担当👤
・中間チェック担当👤
・最終判断者👤
※1人で兼任しても問題ありません
AIチームの具体的な設計方法については、別記事で詳しく解説しています。
08.運用ルール
AIプロセスを安定して運用するには、終了条件やチェック工程などのルールをあらかじめ決めておくことが重要です。
詳しい運用ルールについては、AIチームの記事で解説しています。
09.AIチームからAIオーケストラへ
AIプロセスを繰り返し運用していくと、状況に応じて役割や順番を調整する場面が出てきます。
AI OS Labでは、この発展した運用形態をAIオーケストラと呼んでいます。
人間はオーケストレーターとして、目的に応じてAIの配置や流れを調整します。
詳しい考え方については、AIオーケストラの記事で解説しています。
▶AIオーケストラという新しい協働構造


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